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一昨日は立夏。暦のうえでは夏に入りました。また、一昨日は七十二候(二十四節気を更に3つに分けたもの)の蛙始鳴(かわずはじめてなく)でもあります。冬眠から覚めた蛙は、繁殖活動に入りはじめる5月くらいから鳴き出します。蛙は春の季語となりますが、雨蛙は夏の季語です。
雨蛙は冬は地中で冬眠し、繁殖期の5~7月になると、水田や池に集まって、オスが鳴いてメスを呼び寄せます。湿度が高くなり、雨が降りそうになると、繁殖期ではなくても、よく鳴くため、雨が近いことを知らせる蛙としても知られるようになりました。雨蛙は本当に雨を予知するのでしょうか。
大正時代、アマガエルと天気の関係を研究した人物がいました。北海道出身の気象学者、森直蔵です。彼は気象台(現在の気象庁)の技官として、帯広、潮岬、和歌山、岡山などの測候所長を歴任しています。1915年、4年間にわたる、雨蛙と天気との関係についての研究結果を、「雨蛙と降雨」と題して学術誌に公表しました。雨が降っていない日に、雨蛙が鳴いてから30時間以内に雨が降る割合を調査してみたところ、帯広では64%、潮岬では52%、和歌山では70%、平均62%という結果を得ています。
一方、第3代の中央気象台長であった中村精男氏(1855~1930年)の調査によると、東京では任意の時刻から30時間以内に雨の降る割合は、普通の雨で平均37%、小雨まで含めると53%だったとか。雨蛙の鳴く方(平均62%)が、この結果よりも25%、あるいは9%高くなり、自然の割合よりも、雨蛙が鳴いてから雨が降る方が若干高い、ということで、雨蛙が鳴くと雨が降るというのは、科学的にも正しいと言えなくもありません。
しかし、ここで忘れてはならないのは、現在の気象庁の雨の予報精度は全国平均で約8割とされており、雨蛙予報の的中率は、これと比較にならないくらい低い値であるということです。前出の森直蔵は、その後も雨蛙の観察を続け、1924年に再び研究結果を学術誌に掲載しました。それによると、最終的な雨蛙の予報的中率は5割6分に過ぎず、雨蛙が鳴いたら雨が降るというのは、余りあてにならない、と結論づけています。
さて、次も蛙にまつわるお話です。世界最古の地震計は、候風地動儀と呼ばれ、今から1900年ほど前に中国でつくられました。132年(後漢の時代)、張衡(ちょうこう)という科学者が蛙を意匠に使った地震計を製作しています。候風地動儀は直径2メートルほどの大きさで、8尾の竜と8匹の蛙をあしらっており、地震があると、竜の口のなかの玉が転がり、蛙の口のなかに入って音を立てる仕組みで、地震の方向や強度が分るそうです。科学的に蛙と地震には関連性はないだろうと考えられているので、なぜ蛙が意匠に用いられたのか、正確な理由はわかっていません。ただ、自然災害は今の科学力をもってしても確実な予知ができないため、たとえ科学的に根拠がないと知りながらも、事前の予兆を知ることによって、人々は不安や恐怖を軽減できるので、諺などで伝わった伝承を求めてしまうのでしょう。弊社では当然ながら、伝承よりも、気象庁の発表などから自然災害の状況把握に努めていることはいうまでもありません。