2024.03.11社員ブログ

観光関連産業・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から13年となりました。この震災により、かけがえのない多くの命が失われています。最愛のご家族やご親族、ご友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。震災の大きな犠牲のうえに得られた教訓を風化させてはならず、また、相次ぐ自然災害の教訓を活かし、災害に強い国づくりを目指していく必要があります。

 さて、3月11日というと、ちょうど4年前(2020年3月11日)、世界保健機関のテドロス事務局長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的な大流行)に至っているとの認識を示し、各国に対して一層の対策強化を求めました。感染の拡大は各方面に甚大な影響を与えましたが、観光関連産業もそのひとつです。2020年からインバウンド需要はほぼ蒸発し、また、度重なる緊急事態宣言や、まん延防止といった重点措置による行動制限に伴い、国内旅行も大きく減少となりました。深刻な影響が続くなか、観光関連産業の事業継続と雇用維持を図るため、関係省庁が連携し、支援を図ってきたことは記憶に新しいところです。

 しかし現在では、インバウンド(訪日外国人)消費は5兆円を超え、政府の中期目標を前倒しで達成しています。観光庁が1月中旬に公表した昨年のインバウンド消費額は5兆2923億円となり、過去最高だった2019年の実績を上回りました。一方で、日本政府観光局が同日に公表した訪日客数は2019年の8割にとどまっています。政府が来年を目標年として昨春に定めた、量から質への転換、人数に頼らない経済効果などの方向性が早めに実現する形となりました。とはいえ、インバウンド消費の先行きにはいくつかの壁も予想され、もう一段の規制緩和など、好調を後押しする仕組みづくりが欠かせません。

 先行きが不透明ななか、世界の観光市場の成長を取り込み、日本の観光関連産業が強くなるためには、攻めと守りのほか、脱外国人も必要です。攻めに効果的なのは、個々の企業や地域によるビジネス活動の自由度を増すための規制緩和となります。例えば、世界の高級ビーチリゾートでは水上コテージをよくみかけますが、日本では規制で事実上、不可能です。また、海外のホテルではフロントで各種の体験ツアーを有料で案内していることが多く、これも日本では旅行業法の制約で自由にできません。バスやワゴン車での送迎の途中で立ち寄りツアーを組むことも運送関連の法律に抵触します。

 守りとしてはザル経済対策があげられ、これは売り上げの一部がザルで水をくむように地域や業界の外に流れ出してしまわないよう、手立てを講じていくことです。昨年、海外の大手予約サイトで大規模な不払い問題が発生しました。それでも宿泊業者はインバウンド集客には不可欠なので契約を切ることをためらい、結果的に代金の一定割合が予約手数料として海外に流れています。

 最後は脱外国人ですが、感染拡大前の2019年の実績をみると、日本の観光市場の8割以上は日本人の国内旅行が支えていました。ただ、その需要は週末、お盆、年末年始に集中し、観光地の宿泊・飲食業の低生産性、低賃金のもととなり、人材獲得の壁になっています。インバウンドは伸びこそ大きいものの、コロナ禍のような不測の事態に、より影響を受けるでしょう。

 近年、観光というと外貨獲得ばかりが注目されていますが、そもそも日本の観光立国政策は、国民生活の満足度向上や地域活性化を掲げてすすめられてきました。オーバーツーリズム問題やザル経済の課題が浮上してきた今、原点をみつめ直すことが遠回りなようでも着実な成長をもたらすのではないでしょうか。どのような場面でお役に立てるのかはわかりませんが、弊社も何かお手伝いができればと考えています。

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