2024.03.18社員ブログ

本質的役割・・・・

 本日アイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 3月も中旬となり、間もなく新年度を迎えようとしています。既に公的年金の来年度の支給額が決まっており、物価や賃金の上昇を反映して、今年度比で2.7%引き上げられることになりました。増額は2年連続ですが、昨年度の物価上昇率3.2%(全国、総合指数)よりも低いので、実質的な価値は目減りしています。その公的年金を運用しているのが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。昨年の収益は過去最高となる34兆3077億円のプラスになりました。なかでも日本株式の寄与は12兆円に達しており、年金財政に株高の恩恵がもたらされています。

 日本において老後生活を支える最も重要な柱は公的年金です。しかし、公的年金の所得代替率は低下が見込まれています。そこで公的年金の上乗せや補完の役割として期待されているのが企業年金です。企業年金の普及拡大は日本の重要な政策課題のひとつとなっています。

 現在、例えば、確定給付型の企業年金の財政状況は良好で、平均的には120%程度の積立水準となっており、加入者や受給者に約束した年金を確実に支払うという、確定給付型年金の本質的役割を全うできる状況にあるといえるでしょう。資産運用において最も運用結果に影響を及ぼすといわれている資産構成割合を、先進各国の企業年金と比較してみると、ほぼ似たようなポートフォリオとなっています。日本を含む先進各国における確定給付型の企業年金は受給権保護の観点から厳格な財政運営基準が適用されており、また、国際会計基準への統合によって退職給付債務が母体企業の財務諸表に反映されるようになったことに加え、金利低下による期待リターンの低下やリスク資産のボラティリティの高まりから、各国とも確定給付型の企業年金におけるリスク許容度は低下し、リスクをとった資産運用がしづらくなっているのが実状です。

 一般的に日本の企業年金はリスクを回避した保守的な運用をおこない、なかでも確定給付型のものは、先進各国の企業年金と遜色ないポートフォリオになっています。現況では財政状況は良好で、これは企業年金関係者が母体企業の理解と協力を得ながら制度運営に真摯に取り組んできた結果ともいえるでしょう。貯蓄から投資へ、の文脈のなかで、企業年金に対してもっとリスクをとった運用をするべきとの意見もあります。ただ、確定給付型の場合、文字通り年金額が確定しているのであり、リターンが高まったからといって直ちにそれが家計に還元されるわけではありません。予定利率を高く設定すれば事業主の掛金負担は減るものの、リスクをとって運用することとなり、そのリスクを負うのは事業主です。リスクの高い運用の結果、高く設定した予定利率を達成できなければ、事業主は追加で掛金を拠出しなければならず、経営の不安定要因になります。また、企業年金がリスク資産への投資を増やしても、理論上、母体企業の企業価値が高まるわけでもありません。単純にリスクをとることが高度化した運用であるがごとくの議論もなされておりますが、それだけでは決して加入者や受給者に約束した年金を確実に支払うことはできないでしょう。

 さて、弊社で運用中のi-Bondの予想分配率は、同業他社のものと比較すると見劣りするかもしれません。しかし、運用対象となっている不動産は入居率が安定した居住用のマンションです。加入者や受給者に約束した年金を確実に支払うという、確定給付型の企業年金の本質的役割にも適した商品であると自負しております。

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