2023.07.18社員ブログ

人権デューデリジェンス・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 3連休が終わり、子どもたちの夏休みもはじまります。お子様やお孫様と出かけられたり、帰省などで会える機会を待ち望んでいる方もたくさんいらっしゃることでしょう。

 子どもとして成長する時間や機会、その子の可能性と尊厳を奪い、教育の機会を妨げることなどによって、心身の発達に有害な影響を与える児童労働の撲滅が世界的な課題となっています。2011年、国連人権理事会において全会一致で採択された、「国連ビジネスと人権に関する指導原則(国連人権指導原則)」により、企業(使用者側)が人権に関するデューデリジェンス(人権デューデリジェンス)をおこなうための管理システム作成にあたっての青写真が示されました。更に、国連人権指導原則は、企業が関与するものを含め、人権侵害から個人を保護するための政府の義務と、救済へのアクセスを拡大する必要性も取り上げています。

 国連人権指導原則は新たな法的義務を設けるのではなく、既に合意されている国際的な合意事項などが企業に対してもつ意味を明記し、1998年の「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」に基づいたものです。労働における基本的原則および権利は、1973年のILOの「最低年齢条約」と、1999年の「最悪の形態の児童労働条約」で定められました。この2つの条約が拘束力を有するのは批准国に対してのみですが、いまやサプライチェーンに関連する児童労働改善の基準となっています。

 企業の人権尊重を巡り、ガバナンス(企業統治)の重要性が高まっています。外部機関や機関投資家からの評価を得るためにも、取締役会が責任を負い、監督をする体制の構築が急務です。国際的な非営利団体(NPO)のワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)は昨年11月、企業の人権尊重への取り組みを採点する「企業人権ベンチマーク」の2022年の調査結果を公表しました。「食品・農産物」「ICT(情報通信技術)」「自動車」の3セクター、127社(うち日本企業22社)が対象となっています。WBAは調査結果を踏まえた分析リポートで、人権尊重の責任を取締役会や上級管理職のレベルにまで引き上げることが人権デューデリジェンス改善の鍵になるとみられる、と指摘しました。人権デューデリジェンスとは、取引先も含めた人権に対する負の影響を特定し、対策を講じることを指します。

 人権デューデリジェンスは欧米企業が先行していますが、日本でもガバナンス体制構築や情報開示の重要性は意識されはじめました。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、取締役会が積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきサステナビリティ課題のひとつに人権の尊重があげられています。アサヒグループホールディングスでは、最高経営責任者(CEO)をはじめとする経営層が有識者と人権に関するダイアログ(対話)を実施し、対話内容も踏まえて経営戦略会議で継続的に人権に関して討議しており、サステナビリティデータブックを作成して対話した有識者の氏名や主な指摘事項も開示しています。また、事業を展開する国・地域向けに人権方針を翻訳し、すべての役員・社員に研修と教育を実施しているところです。ホームページには10数ヵ国語に訳した人権方針を掲載し、従業員などへの周知をすすめています。

 経営者や取締役会がどのような役割を担い、情報開示をすすめていくのかは、人権のみならず、ESG全般でも重要な課題となるに違いありません。弊社でも他社の事例をみながら、適切に対応して参ります。

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