2023.07.10社員ブログ

失われた10年・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 関東地方も梅雨入りしているものの、まるで梅雨明けしているかのような天気が続いています。この夏を無事に乗り切るためにも、栄養価の高い旬の食材を食べるなど、体調管理には十分ご留意下さい。

 経済学者である植田和男氏が日銀総裁に就任してから3ヵ月が経過しています。植田総裁は、2月、自身の総裁への起用が報じられた際のインタビューで、日銀の政策に関連した発信力について、政策の判断を論理的にすることと、判断の結果をわかりやすく説明することの2つが大事である旨の発言をしました。また、同月の衆議院での所信聴取では、自身に課せられた使命について、何か魔法のような特別な金融緩和政策を考えて実行することではない、とも述べています。一見すると当たり前のような発言ですが、黒田前総裁の10年間に対する皮肉にも思えてなりません。

 黒田前日銀総裁が就任直後に導入した、異例ともいえる金融緩和政策である異次元緩和は、導入後10年を経ても、当初は2年で達成すると豪語していた、安定的に2%というインフレ目標を達成できませんでした。日銀が全力で金融緩和をやり切り、かつ、それを粘り強く続けたことで、日本経済の問題は金融政策ではないという事実が明白になったことが異次元緩和の歴史的な功績である、という有識者の意見もありますが、異次元緩和は結果的に失敗であったことは、いまや誰の目にも明らかといえるでしょう。黒田体制10年の下で、日銀が国民に対する説明責任をないがしろにし続けた結果、日銀に対する信頼は大きく損なわれてしまいました。日銀版の失われた10年ともいえるでしょうか。

 1998年4月、戦時立法で国家統制色の強かった旧日銀法が改正されました。新日銀法が施行されてから、既に四半世紀が経過しています。日銀法改正の基本理念は独立性(自主性)と透明性(いうならば説明責任)です。しかし、黒田前総裁の下での10年間の日銀を振り返ってみると、特に透明性については乖離があったといわざるを得ません。金融政策が目指しているものについて国民に対してわかりやすく説明し、理解を求める努力を続ける気さえあれば、説明責任を果たすことに何の障害もないはずです。黒田体制の下での不十分な対応によって、国民全般、特に金融関係者やメディアの日銀に対する信頼は大きく損なわれてしまいました。金融は人々の生活にとって必要不可欠ではあるものの、それを円滑に機能させるためには、何よりも重要なのは信頼でしょう。金融の要たる日本の中央銀行は、この10年間でそれを失ってしまったように思えます。

 魔法のような異次元緩和によってインフレ目標(2年で2%)を達成するという試みは成功しませんでした。なぜマネタリーベース重視なのか、なぜ2%にこだわるのか、なぜYCCの上限を引き上げたのか、などについて納得のいく判断の根拠は示されていません。また、例えば、長短金利操作付き量的・質的金融緩和といった複雑な政策は、丁寧な説明なくして、国民は理解できません。よくいわれるように、信用を築くには長年の継続的な努力が必要ですが、それを失うのは一瞬のうちです。論理的な判断に基づく政策が決定され、その結果が国民にわかりやすく説明されることによって、失墜した日銀に対する信頼が徐々に回復していくことが期待されています。

 さて、弊社は再来月で株式上場5年となり、11月には会社設立37年を迎えます。上場企業としての開示義務を果たし、商品・サービスの丁寧な説明を心がけ、より信頼を得られる企業に成長できるよう、努めて参ります。

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