2019.12.16社員ブログ

残念ながら日本の水準は

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

早いもので、今年も残すところあと半月。5月からはじまった令和元年も間もなく終わろうとしています。皆様も体調には十分ご留意され、どうぞ有意義にお過ごし下さい。

経済協力開発機構(OECD)は今年9月、世界の教育事情を考察する「図表で見る教育 OECDインディケーター 2019年版」を公表しました。この報告書には、OECD加盟36ヶ国とパートナー諸国の教育システムに関する様々なデータや考察が掲載されています。日本は2018年時点で、25歳から64歳までの半数以上が大学、短期大学、専門学校といった高等教育を修了しています。この割合はOECD平均である39%を13ポイント上回っており、日本では高等教育が十分に普及しているといえるでしょう。しかし一方で、高等教育を受ける学生のうち、成人や外国人が占める割合はOECD平均を下回っており、学生の多様性が低いとされています。また、2016年に日本政府が小学校から高等教育までの教育機関に対しておこなった支出額は、政府の支出総額の7.8%に過ぎず、OECD平均を3ポイント下回りました。日本では2010年から2016年の間に政府の支出総額は増えているにもかかわらず、教育に対する公的支出額は減少しています。更に、2017年時点で高等教育機関における女性教員の割合が28%となっており、2010年の19%よりは増加したものの、依然としてOECD諸国で最も低い水準です。報告書には、日本では教育分野をはじめとしてジェンダー不平等が根強く残っている、と記載されています。

さて、教育といえば、近年、こちらも関心は高まるばかりです。つみたてNISAやiDeCoの各種投資促進のための制度整備がすすみ、個人でも様々な金融サービスにアクセスすることが可能になりました。各自のリスク・リターン目標や制約条件に合わせ、将来の人生設計に向けて資産形成をおこなえるようになっています。とはいえ、法律や規制の役割も重要ですが、まずは個人が主体的に金融や経済の知識を得ながら、適切な金融商品を選択していくことが必要です。金融や経済に関する知識や判断力を身に着け、それを実際に活用していく能力である金融リテラシーを高めていかなければなりません。

少し古いデータですが、2015年におこなわれたスタンダード・アンド・プアーズ社による金融リテラシー水準に関する調査結果によると、日本の成人において金融リテラシーのある人の割合は43%でした。この調査では、金融や経済に対する知識事項(ポートフォリオの分散効果、インフレーション、金利、複利効果)について4問中3問以上正答すると、金融リテラシーがあると判断しています。ちなみに、デンマーク(71%)、ノルウェー(71%)、スウェーデン(71%)といった北欧諸国において金融リテラシーのある成人の割合が最も高く、次にカナダ(68%)、イスラエル(68%)、英国(67%)、ドイツ(66%)、オランダ(66%)といった国々が続いています。米国も57%であるなど、先進諸国における金融リテラシーの水準は相対的に高い結果となりました。残念ながら日本の水準は他の先進諸国と比べて決して高いとはいえません。

平成初期のバブル経済崩壊後に長らく株安が継続し、低金利環境も長期化するなど、国内で資産形成の成功体験を積むことは容易ではないでしょう。こういったことが個人に偏見や誤った先入観を与え、金融リテラシーを低位に留まらせている可能性もあります。幼少期からの適切な金融教育により、金融リテラシーを磨いていかなければなりません。弊社もいつか、地域の子どもたちにその機会をつくりたいと思っています。

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