2025.12.01社員ブログ

厳島神社・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 早いもので12月に入り、今年もあと1カ月となりました。弊社からそれほど遠くない千代田区九段北、靖国神社境内のイチョウ並木は黄色く色づいています。秋になると落葉樹の葉は色が変わり、イチョウは黄色です。そのほか、赤色や橙色になるものもあります。葉のなかには、もともと黄色の色素(カロチノイド)と緑色の色素(クロロフィル)が含まれ、日差しが弱くなってくると、光合成で使われる緑色の色素は分解され、残るのは黄色の色素です。また、植物のなかには、緑色の色素を分解しつつ、赤色の色素(アントシアニン)をつくるものもあり、もともとある黄色の色素と相まって、赤色や橙色に変化します。

 紅葉というと、数多くの種類のモミジの木が植えられ、日本屈指の紅葉スポットのひとつとされているのが、世界遺産とされている宮島(広島県廿日市市)の厳島神社です。境内には紅葉谷川庭園がありますが、災害復旧のため、戦後になって日本庭園風に造営された土砂災害用砂防施設であることはあまり知られていません。

 厳島神社は、敗戦直後の1945年9月17日、枕崎台風によって土石流被害を受けています。枕崎台風は枕崎(鹿児島県枕崎市)に上陸した後、九州、四国、近畿、北陸、東北を通過して三陸沖へすすみました。広島でも最大瞬間風速45.3mを観測する猛烈な風が吹いています。敗戦直後のことで防災体制が十分でなかったこともあり、各地では大きな被害を受けました。広島県は死者・行方不明者が2000人超となっています。この日の宮島の総雨量は170mmを超え、紅葉谷川の上流で発生した山崩れは土石流となり、厳島神社の西方裏手から押し寄せ、神社は大量の土砂や流木で埋まってしまいました。しかし、広島は終戦間際の原爆投下や空襲被害もあって、台風で壊滅した厳島神社の復旧もままならず、1年以上にわたって、土砂の撤去すら放置された状態が続いています。

 その後、連合国最高司令官総司令部の民間情報教育局で文化財保護担当となった人物の働きかけもあり、1948年8月、ようやく災害復旧事業がはじまりました。被災から5年半後の1951年3月に復旧工事は完成しています。工事では、史跡・名勝地らしさが失われないよう、自然や景観を配慮し、周囲の樹木を1本たりとも伐採していません。土砂をせき止める砂防施設では、石に包むなどの工夫を凝らし、コンクリートなど人工物がみえないようにしています。2020年12月、紅葉谷川庭園砂防施設は、意匠的に優秀で歴史的価値の高いものとして、戦後、土木施設初の重要文化財に指定されました。

 近年、世界的に災害が激甚化・頻発化するなか、国内で不動産を所有・管理している弊社にとっても、防災が重要項目のひとつであることはいうまでもありません。居住者の皆様が安心して生活できる空間の提供に、これからも注力して参ります。

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