2023.04.10社員ブログ

4社がランクイン・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 新年度を迎え、新しい職場で仕事をはじめている方もたくさんいらっしゃるものと思われます。4月に入って10日目ですが、担当される業務は別として、職場の雰囲気にはそろそろ慣れてきたころではないでしょうか。

 今年1月中旬、2005年から企業の持続可能性の評価を続けているカナダのコーポレート・ナイツ社は、「The 2023 Global 100(世界で最も持続可能な企業100社)」を公表しました。対象となるのは売上高10億ドル以上の上場企業で、持続可能な収益率と投資率、炭素生産性、人種・ジェンダーの多様性など25の指標を用いて評価がなされています。2023年版の首位は米国のシュニッツァー・スチール(金属リサイクル業)、2位はデンマークのヴェスタス(風力発電機メーカー)、3位はオーストラリアのブランブルス(サプライチェーン・ロジスティックス)でした。日本からはコニカミノルタ(50位)、エーザイ(53位)、リコー(80位)、積水化学工業(84位)の4社がランクインしています。コニカミノルタ、エーザイ、積水化学工業の3社は昨年に続いてのランクインです。コーポレート・ナイツ社のリサーチ・ディレクターであるラルフ・トリー氏は、原油価格の上昇により、自然エネルギー、スマートビルディング、電気自動車といったサーキュラー・エコノミーの取り組みを含む気候変動解決策が注視されていると述べています。今回ランクインした100社の総収益の半分が、コーポレート・ナイツ社の分類による評価では、持続可能な収益でした。また、100社はACWI(世界株式インデックス)の企業に比べ、炭素排出量1トンにつき、33倍の収益を上げています。

 さて、2000年以降、各国は競うようにサステナブルファイナンスへの規制に乗り出しました。国連責任投資原則(PRI)には116ヵ国で900近い政策が記録され、一昨年だけでも200以上が新規策定あるいは改定されています。日本も例外ではなく、ESG投信の監督指針改正が金融庁によりすすめられているところです。サステナビリティ(持続可能性)に関わる規制が投資家に何をもたらしているのかを知るには、最前線を走る欧州の経験が参考になります。

 一昨年、欧州連合は資産運用会社などの金融市場参加者に対し、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)を導入しました。これは「環境または社会の特性を促進する」(第8条)または「サステナブル投資を目的とする」(第9条)金融商品に対し、開示を充実させるよう、求めるものです。重要なのは、この規則は求められる開示の性質に関するものであり、優劣やサステナブルの度合いを定めたものではない点になります。もともと透明性の向上を目的に定められた規制ですが、実際には様々な分類が設けられ、資産運用会社は自社ファンドの分類を調整し、運用プロセスにサステナビリティ要件を盛り込むことになりました。サステナビリティに関する規制体系はより複雑になったといえます。

 今年1月にはSFDRレベル2とよばれる情報開示もはじまりました。第8条、第9条に分類される金融商品に関して提供会社はサステナビリティに関する詳細な情報開示義務を負い、定型の書式に沿った報告をしなければなりません。契約締結前の情報開示、定期的な情報開示、ウェブサイトでの情報開示のそれぞれに、求められる事項が定められています。契約締結前には金融商品のサステナブル特性や目的を開示し、定期的な開示ではそれらの特性がどの程度達成されたのか、また、サステナブル投資の割合はどの程度であったのかなどを振り返ります。

 世界各地でサステナビリティに関する規制が整備されていくなか、投資家が自分に適した投資先を容易に選択できるようにするためには、全体での枠組みの調整も必要でしょう。サステナビリティに関する規制はこれからも進展していくに違いありません。弊社でもその動向を注視して参ります。

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