2022.10.17社員ブログ

金融リテラシー・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 歴史を遡りますと、ちょうど28年前(1994年10月17日)、それまで規制によって横並びだった流動性預金(当座預金を除く)金利が自由化されました。この日から各銀行は自らの経営判断で普通預金などの金利を独自に決められるようになり、高い金利でお金を集め、融資や投資を増やすことが可能になっています。銀行同士の預金獲得における価格競争を回避し、すべての銀行の存続を可能にしていた護送船団方式からの決別となりました。

当時から四半世紀以上経過し、個人向けの様々な金融商品が登場しているなか、金融庁は国民の金融リテラシー向上を目的にしたマネー教育の推進を打ち出しています。金融リテラシーは、「金融に関する健全な意思決定をおこない、究極的には金融面での個人のよい暮らし(well-being)を達成するために必要な金融に関する意識、知識、技術、態度及び行動の総体」と定義されています。難解な金融用語や金融工学、投資のテクニックなどが金融リテラシーであると誤解されてることもありますが、ポイントは、「金融面での個人のよい暮らし(well-being)を達成するために必要な」という部分です。働いて稼ぐ、貯蓄をする、投資をする、保険で備えるなど、お金とうまく付き合っていくことがwell-beingにつながっていきますので、金融リテラシーを身につけていかなければなりません。

この一環として、今年4月から高校で金融教育がはじまりました。教育現場で話をきくと、まだ教員自身の知識や理解が乏しく、教え方に戸惑う様子も伝わってくるようですが、学校で金融の知識を身につける環境が整いはじめた意義は大きいといえるでしょう。金融教育を国家戦略として推進する方針も打ち出されました。ただ、これまで民間金融機関が主体となって金融教育に取り組んできた分、資産運用や投資といった視点が色濃くにじんでいます。金融教育を考えるときに大前提になるのは、資産形成=資産運用ではないということです。家計の資産形成は収入を増やす資産運用と、支出を抑える家計管理の両輪が基本になります。家計管理がきちんとできていないままでリスク資産への投資を増やしても、生涯にわたる安定した資産形成は難しいでしょう。家計の破綻リスクを避けるには、支出状況を確認したうえで、どこまで運用リスクを取れるのかを考える必要があります。企業が損益計算書や貸借対照表を作成するように、家計簿を使ってお金の出入りを正確に把握することが第一歩になりそうです。

日本では長らく、最新の経済情勢に沿った市場分析が必要な資産運用の知識はアナリストやエコノミストなどが担い、生活実態に則した節約術や生涯支出プランなどの家計管理はファイナンシャルプランナーが担う分業体制が続いてきました。資産運用と家計管理を分断せず、両方の知識をバランスよく備えた金融教育をどう展開するのか、まだ明確な将来像はみえていません。教育現場にとどまらず、全世代に金融教育を広げるのであれば、資産運用と家計管理のバランスがとれた教育体制をどう整えるのか、基本から構築する必要があります。

弊社は36年以上にわたって不動産業を営んでおりますが、不動産と金融は密接な関係にあることはいうまでもありません。これまでの実務経験の一部を、将来、学校などの金融教育に役立てていければと思っています。

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