2023.05.22社員ブログ

異例の貸し付け・・・・

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

5月も下旬に入りました。上場企業の決算発表が相次いでおりますが、弊社も先週、2023年9月期の第2四半期決算を公表しております。よろしければ、ご覧下さい。

こちらは企業ではないものの、政府が創設したこともあり、話題になっています。文部科学省は先月初旬、大学の研究力強化のため創設した大学ファンドの支援校として、10大学から申請があったことを発表しました。国立8校と私立2校で、受け付け順に早稲田大学、東京科学大学(来年度中を目途に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合)、名古屋大学、京都大学、東京大学、東京理科大学、筑波大学、九州大学、東北大学、大阪大学となっています。秋頃までには数校に絞られる予定です。

一昨年に決定されたこのファンドは、政府などが科学技術振興機構へ10兆円を拠出し、その運用益を将来の研究基盤への長期・安定投資に当てていきます。運用期間は50年です。長期的な視点から安全かつ効率的に運用し、国内外株式65%、国内外債券35%で年間3%の実質リターン(名目は長期物価上昇率1.38を加えた4.38%)を目指します。2021年度に4.5兆円(政府出資0.5兆円、財政投融資4.0兆円)からスタートしましたが、金融市場や大学から集めた資金などを加え、早期に10兆円の運用元本としていく予定です。

ファンド設立の背景には、日本の大学は資金力が乏しく、若手研究者に十分な給与やポストを提供することが困難な状況にあること、その結果、博士課程への進学率が減少し、研究力が低下していることがあります。ファンドで長期的に平均して目標とする運用益を確保できるならば、大学の資金力強化につながり、研究力も向上するに違いありません。

海外の大学では寄付などの形で外部資金を獲得し、自らファンドをもって運用し、運用益を有効活用して研究力や大学としての魅力を高めています。日本にも資金運用をしている大学は複数あるものの、その規模は海外に比べると、それほど大きいものではありません。そこで政府主導の下、日本にも大学に運用益をわたすファンドが創設されることになりました。とはいえ、海外とは大きく状況が異なり、日本は国債発行、つまり借金をした資金調達です。正確には財投債という国債になりますが、投資家からすれば、自身が保有している国債が財投債かどうかは分かりません。また、財投債は投融資によって得られる収益から借りたお金を返していくもので、今回の大学ファンドもこの仕組みを利用していますが、使途が事業ではなく市場運用となっている点で異例の貸し付けとなっています。更に、10兆円という規模が強調されており、これを借金と考えれば、期中には利息の支払いがあり、元本の返済も考えなければなりません。想定された収益の獲得を期待したいのですが、運用がうまくいかなければ、場合によっては国民負担(税金による穴埋め)が生じる可能性もあるでしょう。

さて、お話はかわりますが、前述の4.38%という高い利回りには及ばないものの、弊社が2004年から販売している不動産小口化商品(現在はi―Bond)は一度たりとも元金・想定分配金の毀損なく運用されております。将来、多くの大学で活用される場面がやってくるかもしれません。

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