2023.07.31社員ブログ

生命や財産に損害が生じて初めて・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 早いもので7月も残すところあと1日です。日本列島は梅雨明けしましたが、今年も各地で集中豪雨をもたらしています。近年では、線状降水帯に代表されるゲリラ的な集中豪雨も珍しくありません。

 日本で初めて、集中豪雨という言葉が使われたのは、1953年6月26日、西日本で1000人以上が亡くなった熊本県北部豪雨が最初といわれています。この災害以降、集中豪雨による崖崩れや土石流が目立って多くなってきました。ではそれまで、集中豪雨に匹敵する雨が降らなかったのかといえば、そうではありません。当然ですが、太古の昔から日本でも大雨は降っていました。ただ、それまで、大きな被害が生じた大洪水や大水害といった大型災害ばかりに脚光が集まっていたため、それほど注目されていません。なぜ注目されていなかったのかというと、戦前は豪雨被害の発生しやすい山や崖下に、人々があまり住んでいなかったからです。

 生命や財産に損害が生じて初めて災害となります。人間に被害が生じない限り、災害ではありません。集中豪雨は、ごく狭い限られた局地的な地域で集中して雨が降る現象ですから、たとえ集中豪雨の災害となっても、人口の少ない一地域の災害では、あまり注目されることはなかったのでしょう。しかし戦後は、人口の増加、都市化、生活圏の拡大などで、

 それまで人々が住んでいなかった河川沿いや山の急傾斜地に住宅地が造成され、大勢の人々がそこに住むようになりました。その結果、戦前には注目されていなかった、集中豪雨による狭い範囲の小規模で突発的・ゲリラ的な山崩れ、崖崩れ、土石流などの災害が統計上も増えてきています。現代の都市型自然災害は、こうした歴史のうえに成り立っていることを忘れてはなりません。

 今年は1923年に発生した関東大震災から100年の節目の年になります。関東大震災は近代日本の首都圏に未曾有の被害をもたらした、日本の災害史において特筆すべき災害です。その発生日である9月1日は防災の日と定められ、防災週間(8月30日から9月5日)の期間を中心に、防災訓練や各種啓発行事が毎年各地でおこなわれています。関東大震災は日本の災害対策の出発点ともいえるでしょう。しかしながら、1世紀も前の大震災がもたらした当時の被害の様相や、その後の応急対策、復興の取り組みが広く現代の国民に知られているとはいえません。この災害では、東京において火災による人的被害が大きかった一方で、震源の相模湾に近い横浜などを中心に強震、津波、土砂崩れ、火災、液状化などによる被害が各地に及び、複雑な様相を呈しました。また、災害救護にあたっては住民同士の助け合いや、海外を含む遠隔地からの支援が大きな役割を果たしています。帝都復興計画に基づく復興事業は、現代の東京や横浜の中心部の形成につながりました。当時の取り組みから学ぶことは多く、日本の災害対策の出発点となった関東大震災から100年の節目に、この間の災害対策の充実・強化の経緯や、日本を取り巻く様々な環境の変化を俯瞰することは、今後の災害対策の大きな方向性を考えるうえで有意義であることは間違いありません。不動産会社として街づくりに関与する立場にある弊社においても、そうしたことを忘れることなく、日々の事業活動をおこなって参ります。

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