2023.01.10社員ブログ

満ち足りた状態・・・・

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 昨日は成人の日。国民の祝日に関する法律によれば、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨としています。1949年から1999年までは毎年1月15日となっていましたが、これは、かつて元服の儀が小正月であるこの日におこなわれていたからだそうです。2000年からは、ハッピーマンデー制度の導入に伴い、1月の第2月曜日に変更されています。

日本で国民の祝日に関する法律が公布・施行された1948年、世界保健機関(WHO)の憲章のなかで、広義の健康が、「身体面・精神面・社会面のすべてにおいて良好な状態にあること」と定義されました。近年は「満ち足りた状態」と訳されることもあります。「良好な状態」あるいは「満ち足りた状態」と和訳された英単語がwell―being(ウェルビーイング)です。一方、happinessは感情としての幸せを表し、ウェルビーイングよりも範囲の狭い単語になります。

身体的に良好な状態を狭義の健康と呼び、精神的に良好な状態が幸せ・幸福です。そして、社会的に良好な状態をつくるための活動が福祉で、ウェルビーイングとは健康・幸せ・福祉のことといってよいでしょう。

SDGs(持続可能な開発目標)の3番目(Good health and well-being)にも登場するウェルビーイングですが、近年の日本では幸せ・幸福の意味で使われることが増えてきました。その原因のひとつには、主観的幸福研究が進展し、理解が深まってきたことがあると考えられています。主観的幸福研究とは、多くの人にアンケートを通じて幸福度をたずね、また、別の何らかの調査で他の項目についてきくことによって、両者の関係を調べる研究分野です。例えば、他の項目として人々の創造性について調査すると、幸せな人は不幸せな人よりも創造性が3倍高いという研究結果も得られています。

アンケート以外の方法でおこなうウェルビーイング研究も増えてきました。日立製作所は加速度計と人工知能(AI)によって幸福度を測る方法を開発し、関連会社も設立しています。脳の計測の結果、左脳前頭葉が発火(電気的活動)しているときに幸福度が高いことがわかりました。更に、笑顔計測や生態情報計測、ネットワーク分析など様々な方法によって人々の幸福度を測る研究もおこなわれています。NECは、AIチャットボットによる社員の幸福度向上の研究をしているところです。

仕事との関連では、世界中で様々な研究がおこなわれ、幸せな従業員は仕事ができ、休んだり、辞めたりしにくいことが多様な視点から明らかにされています。従来の合理的経営は精神論を廃し、徹底的に合理化をすすめるものでしたが、そこでは、従業員が幸せに働いていること、という一面を見落としていました。心のあり方次第で創造性が3倍になるといった事実は、従業員が幸せに働いていることも考慮に入れた経営が、現代においては合理的経営であることを示しています。

近年、人的資本経営が注目を集めています。従業員の能力を十分に活かして経営しているか否かを投資家に開示するという新たな経営の指針です。その第一人者とされている一橋大の伊藤邦雄名誉教授は、人的資本経営の中心はウェルビーイングであると明言しています。ウェルビーイングが確保された状態で働いている従業員が多い会社は人的資本投資が十分におこなわれていると考えられ、成長を見込んで投資するに値する会社とみなされるに違いありません。弊社もより多くの投資家にそのように判断されるよう、努めて参ります。

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