2024.04.01社員ブログ

プラネタリー・バウンダリー・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 新年度がはじまっておりますが、ちょうど75年前(1949年4月1日)、日本初の公的な証券取引機関である東京株式取引所(1878年5月設立)を前身とする東京証券取引所が設立されました。立会開始は1ヵ月半後の5月16日で、当初の上場企業は495社となっています。

 近年、その上場企業にとっても無視できないものが、プラネタリー・バウンダリー(地球の境界)です。これは、「その境界内であれば、人類は将来世代に向けて発展と繁栄を続けられるものの、それを越えてしまうと、急激な取り返しのつかない環境変化が生じる可能性のある境界」です。2009年、スウェーデン出身の環境学者を中心としたチームから、9つの境界(気候変動、生物圏の一体性、土地利用の変化、淡水利用、生物地球化学的循環、海洋の酸性化、大気エアロゾルによる負荷、成層圏オゾン層の破壊、新規化学物質)と測定結果(3つが上限オーバー)が公表されました。昨年の最新版では、6つが上限オーバーとなっています。

 現在、一般的におこなわれているビジネスのやり方は、プラネタリー・バウンダリーをはるかに超えてしまっており、地球の気候や生物多様性、生態系サービスを崩壊の危機に追い込んでいるといえるでしょう。企業は環境への影響を減らしていかなければならず、それは道徳的に必要であるばかりか、今後のビジネスの存続にも不可欠となります。ある団体が世界の大企業から開示された財務情報を分析したところ、200社以上が今後の数十年間に、1兆ドルもの気候変動関連コストに直面するとか。また、他の研究では、世界の金融セクターが最大24兆2000億ドルものコストを負うことになると見積もっています。

 ところが、このようなリスクがあるにもかかわらず、多くの企業経営者は、収益性への影響など理由から、積極的な取り組みをおこなっていません。しかし、プラネタリー・バウンダリーの範囲内で事業をおこなうことで、企業は経済的なレジリエンス(困難や脅威に直面している状況に対して、うまく適応できる能力)を強化し、同業他社を凌駕することも可能です。例えば、有機農業市場は、プラネタリー・バウンダリーと調和をとることで経済的レジリエンスを高められることを示す好例となっています。窒素系肥料のほとんどは天然ガスから製造されるアンモニアによって生産されており、ロシアとウクライナの戦争がはじまると、ロシアに対する国際制裁により、天然ガス価格は高騰しました。しかし、有機農業業界には窒素系肥料の使用を認めないという基準があるため、他の農業者が苦戦するなか、有機農業生産者のコストは安定しています。世界が化石由来原料の消費削減に取り組むようになっているので、化石由来資源への依存度が低い企業は、規制やインフレといった課題によるリスクから守られている面もあるでしょう。

 さて、人類は、自分たちは自らを自然から切り離したという無意識の思い込みをもっている、といわれています。現実には、かつてないほど地球に依存しているのですが。どの企業も何らかの形で自然に依存しています。地球環境が健全な姿に戻らないと、そのうえで展開している経済も暮らしも健全にはなりません。行動しないことのコストは、行動することのコストをはるかに上回る場合もあり、弊社のできることは限られておりますが、日々の事業活動のなかで対応して参りたいと考えております。

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