2020.04.06社員ブログ

危機が去っても遅れがちに

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

今回で32回目となる日経リサーチの人気アナリスト調査で、業種別と市場関連の32部門のランキングが決定しました。この調査は今年1月上旬から中旬にかけておこなわれ、投票権をもつのは投資信託や投資顧問といった株式を運用する側となります。インターネットで調査票を1322人に送り、854人(回答率64.6%)から回答を得ました。各アナリストが獲得した得点を所属会社ごとに集計した結果、大和証券グループが2年連続で首位となっています。以下10位までは、2位みずほ証券、3位野村証券グループ、4位SMBC日興証券、5位三菱UFJモルガン・スタンレー証券、6位JPモルガン証券、7位岡三証券、8位東海東京調査センター、9位シティグループ証券、10位UBS証券となりました。今年の調査では、25部門でトップアナリストが昨年と同一人物です。昨年は一昨年と比べて21部門でしたので、今年は各部門のトップアナリストが安定的な人気を得ていることがわかります。現在、中東情勢の緊迫化や新型コロナウイルスの流行で金融市場の先行き不透明感が高まるなか、担当業種の事業環境のみならず、マクロ環境も横断的に分析できるアナリストの評価が高いようです。また、担当業種の分析を更に突き詰めたり、幅広い知見に基づいて独自の投資戦略を提案するなど、アナリストの個性も注目されました。部門別のトップアナリストは、村木正雄氏(SMBC日興証券、13年連続、証券・保険・その他金融)、佐渡拓実氏(大和証券、12年連続、電子部品)、山崎雅也氏(野村証券、10年連続、産業用電子機器)、岩佐慎介氏(みずほ証券、8年連続、放送・広告)、新家法昌氏(みずほ証券、7年連続、電力・ガス・石油)、小山武史氏(みずほ証券、6年連続、インターネット・ゲーム)、中根康夫氏(みずほ証券、5年連続、家電・AV機器)、小場啓司氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、5年連続、小売り)、鳥井裕史氏(SMBC日興証券、5年連続、REIT)などが選ばいます。

新型コロナウイルスの影響で株式市場は世界的に荒れ模様です。1ヶ月ほど前、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利を年1.50~1.75%から年1.00~1.25%に引き下げました。予定されていた日程以外でFRBが政策金利を変更したのは、2008年の金融危機以降では初めてとなります。そして更に先月中旬には、政策金利を年0.00~0.25%に引き下げ、2015年以来のゼロ金利を復活させています。

歴史的にみれば、中央銀行による過度な金融緩和はバブルを引き起こしてきました。危機が起こると、中央銀行は金融緩和に踏み切りますが、主に政治的な理由から、危機が去っても利上げは遅れがちになります。日本で1980年代後半に起こったバブルは、1985年のプラザ合意や1987年のブラックマンデーに対応して日本銀行が過度な金融緩和をおこなったのがきっかけです。また、1997年のアジア通貨危機や1998年のLTCM(ヘッジファンド)危機はITバブルを、2001年のアフガニスタン戦争や2003年のイラク戦争は米国の住宅バブルを生む要因となっています。

新型コロナウイルスの影響は甚大であり、今回の政策金利の引き下げは正しい判断といえるでしょう。とはいえ、いつか事態は収束しますので、景気が回復した時点で、適切に利上げを実施する必要があります。ただ、時期によっては大統領選挙を控えてトランプ大統領が利上げを受け入れず、その後に国民の信任を得て再選されれば、FRBに対して更に強硬な態度をとるかもしれません。そうなると、金融引き締めの時期も遅れてしまうでしょう。弊社でも情勢を注視し、適切なリスク管理に努めて参ります。

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