2019.08.13社員ブログ

恐怖心や敗北感から・・・

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

先月22日に総務省統計局から公表された
「人口推計2019年(令和元年)7月報」によりますと、
今年7月1日現在の日本の総人口(概算値)は1億2622万人
(男性6142万人、女性6480万人)となり、前年同月比31万人の減少です。

年齢階層別にみると、15歳未満1529万人(男性783万人、女性746万人)、
15~64歳7512万人(男性3802万人、女性3710万人)、
65歳以上3581万人(男性1556万人、女性2024万人)となっています。
総人口に占める割合はそれぞれ12.1%、59.5%、28.4%になりました。

2010年頃から減少の一途をたどっている日本の人口の実態とは異なり、
そもそも人間には増やすこと、大きくすることを好む傾向があるようです。

たとえそれが幸福につながらないどころか、損なう状況になっていたとしても、
減らすこと、小さくすることへの恐怖心や敗北感から、
増やすこと、大きくすることを正解とみなし、なんとか成長を続けていこうとしているのでしょう。

とはいえ、足元の日本の人口減少を考えても、増やし続けることにしがみつくより、
減らすことで豊かになる方法を模索していく必要もあります。ここで、減らしたから
こそ豊かになった事例として、宮城県北部に位置する南三陸町の取り組みを紹介します。

ここはリアス式海岸の美しい景観を有し、昔から漁業が主要な産業のひとつとなっている町です。

牡蠣のほか、ワカメ、ホタテ、ギンザケなどの養殖も盛んであり、
また、アワビ、ウニ、タコ、アキザケなどたくさんの水産物が水揚げされています。
なかでも、山に挟まれた小さな浜をいくつももつ戸倉地区は、宮城県漁業協同組合・
志津川支所の戸倉出張所が置かれ、東日本大震災前は年間12億円の水揚げを誇る水産の町の中核地域でした。

2011年3月11日、地震による津波で牡蠣養殖用の筏がほぼ全壊となり、
これを機に、思い切って量から質への転換を図っています。
震災前は湾内に筏が過密状態で並んでおり、なかには間隔が5mというところもあったそうです。

震災後、筏の間隔を一気に40mまで広げて牡蠣の成長を早め、それまで2~3年で収穫していたものを
1年に短縮し、かつ、より大きくて良質の牡蠣の養殖に成功しています。

また、筏の数が3分の1になったので経費も3分の1というわけにいきませんが4割は削減できました。
労働時間も短縮され、以前は1日10時間の作業をしていましたが、
現在では6時間の作業で日曜日も完全に休みです。

生産性の向上によって働き方改革にもなりました。
更には、筏の間隔が広がったので船が通りやすくなり、事故が減るなどの効果もあらわれています。

一方、筏の数が3分の1に減ったことで、組合員37人の平均所有台数は8台となりました。
最多でも10台と決めたので、激減する組合員も当然います。これまで養殖をおこなう権利は、
代々譲り受けてきた既得権でしたが、それを今回、全部返上してもらい、ポイント制にしました。

家族構成や後継者のあるなしでポイントを決めて筏を配分する仕組みです。
筏を減らされる場合、ポイント制に対しての反対意見も少なくありませんでしたが、
使える漁場が限られていることなどを十分説明し、何とか了承をもらっています。

もし震災前に、いったん沈めた筏をもう一度引き上げて、間隔をもっと広げようとしていたら、
それは至難の技だったでしょう。震災という大きなきっかけがあって、
何もかもなくなってしまったからこそ、実現したのかもしれません。

例えば企業の通常の事業活動でも、増やすよりも減らす方が、真逆の行動をとる方が
実は適切な場面があって、何かのきっかけでそれに気づいて実践すれば、
思いもよらない素晴らしい結果をもたらしてくれることもきっとあるはずです。

弊社でもそのような場面に遭遇した際には、
しっかりと見極め、実践し、よい結果を導けるよう、努めて参ります。

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