2021.07.19社員ブログ

たとえ目標を完全に達成したとしても・・・・

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

2ヶ月ほど前になりますが、国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするには、エネルギーの生産・利用・輸送方法を抜本的に変える必要があり、化石燃料事業への新規投資を禁止すべきであるとの報告書を公表しました。2015年に採択された国際的な温暖化対策の枠組みであるパリ協定は、気温上昇を1.5℃に抑えるためには温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする必要があるとし、多くの国が実質ゼロの目標を掲げています。ただ、報告書によれば、たとえ目標を完全に達成したとしても、2050年には世界全体で依然として220億トンの二酸化炭素が存在し、2100年までの気温上昇が2.1℃前後になる見通しです。IEAのビロル事務局長はロイター社の取材に対して、「実質ゼロへの道は狭いが、まだ達成可能だ。2050年までに実質ゼロを達成したいのであれば、これ以上の新たな石油・ガス・石炭プロジェクトへの投資は不要になる。」と答えました。多くの有識者も、以前から、エネルギーの利用方法を過去に例のない形で変えていかなければ、異常気象や種の絶滅が増える恐れがあると警告しています。

さて、近年、気候変動の影響もあって、日本でも豪雨、台風など気象災害が頻発化、激甚化しており、あらゆる災害から大切な命を守ることを最優先にした防災が大きな課題となっていることはいうまでもありません。全ての国民が災害から自らの命を守ることができるようにするためには、災害時に各人が適切な行動をとることができるようになっている必要があります。こうした観点から、今年4月に改正された災害対策基本法では、避難情報の分かりやすさの向上、避難行動要支援者への対策の充実など、国民が災害時において円滑かつ迅速な避難の確保をおこなうための仕組みが強化されました。

東日本大震災を振り返ると、平時から具体的な津波災害を想定し、実践的な避難訓練を実施していた学校では多くの命が守られた事例もあります。東日本大震災からこれまでの10年間、学校教育分野では、学校安全の推進に関する計画の策定、学習指導要領の改訂をはじめ、防災教育の充実が逐次図られてきました。命を守ることを最優先にした防災の実現を考えるにあたり、学校安全の観点はもとより、全ての国民が受ける義務教育課程のなかで、自らの命は自らが守る意識、そのために必要な知識、災害時に率先して避難し、余力があれば周囲の人々を助ける主体的な態度を身につけることができるよう、防災教育の一層の充実が図られるべきでしょう。その防災教育が10年後には地域を支える大人をつくり、地域の防災文化をつくる礎となるはずです。

防災教育を単に災害対応技術を身につけるものではなく、地域の大人たちが子どもたちに背中をみせながら、将来を担う人材を育む大きな事業として捉え、地域と学校が一丸となって取り組まなければなりません。すべての国民がいかなる災害にも適切に対応していくことができる社会を目指 し、子どもたちが災害から命を守る能力を身につけられる防災教育を展開していくための新たな対策が求められています。弊社でも、もし地域の防災教育に関与できる場面があれば、協力は惜しみません。

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