2020.08.03社員ブログ

第1位22.5億円

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、上場企業の有価証券報告書の提出期限が延期されており、すべてが出揃っているわけではありませんが、現況で開示されている資料によれば、2020年3月期に1億円以上の報酬を得た役員は485人となりました。過去最高だった前期を100人ほど下回り、8年ぶりに減少に転じています。ただ、全体の人数は減っているものの、金額上位には報酬が増えた役員も少なくありません。外国人を中心に報酬相場は大きく崩れておらず、3億円以上も48人います。優秀な経営人材の確保が不可欠であることはいうまでもありませんが、客観性・透明性のある報酬決定の仕組みをステークホルダーに示していくことが必要です。ちなみに、開示されている高額報酬者の上位5人は、第1位高島準司氏(住友不動産)22.5億円、第2位マルセロ・クラウレ氏(ソフトバンクグループ)21.1億円、第3位クリストフ・ウェバー氏(武田薬品工業)20.7億円、第4位ラジーブ・ミスラ氏(ソフトバンクグループ)16.0億円、第5位ディディエ・ルロワ氏(トヨタ自動車)12.3億円となっています。

欧米ではコーポレートガバナンスにおける議論において、経営者報酬は最も重要な視点のひとつ です。日本においても2015年のコーポレートガバナンス・コード導入以降、経営者報酬に関する議論が活発になされ、自社株報酬や業績連動報酬の導入を検討する動きが出てきているものの、現状では、情報開示において形式的な開示にとどまる企業が多く、報酬の制度設計という点においても中身の議論がしっかりとなされているとはいえません。日本での経営者報酬は固定報酬・退職慰労金といった固定的・安定的に支給されるもので、業績に連動する変動報酬の割合はまだ小さく、その結果、経営者がリスクをとっても見返りが少ない、いわゆるインセンティブが働きにくい報酬制度です。水準自体も従業員給与の延長線上に位置づけられていることから、欧米企業と比べると著しく低く、国際競争力という観点で投資家の懸念事項となっています。また、経営者報酬に関する情報開示も少なく、投資家から報酬制度の決定プロセスがわかりにくいという指摘もあり、コーポレートガバナンス・コード導入をきっかけに、望ましい報酬制度の決定手続きや情報開示のあり方、ストックオプション以外の株式報酬スキーム導入の検討などが開始されるようになりました。コーポレートガバナンス・コードの狙いは、健全な企業家精神の発揮を促し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るという、攻めのガバナンスの実現にあります。経営者報酬もこれを実現するための重要な手段として位置づけられており、中長期的な業績との連動性という視点を報酬設計においても組み入れるとともに、インセンティブ機能発揮のため、具体的な報酬額の決定に際して、客観性・透明性がある手続きの確立が求められています。

日本の経営者報酬に関する議論はまだはじまったばかりです。今後は各企業が置かれた経営環境、将来像、後任者育成などを踏まえ、各企業独自の報酬の制度設計、ガバナンスを確立し、積極的に情報を開示していかなければなりません。情報開示の進展によって企業とステークホルダーとの関係も深まり、その結果として各社の報酬制度が高度化していくことで、経営者報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能していくことが期待されています。弊社でも上場企業として相応しい対応を心がけ、その期待に応えられるよう、努めて参ります。

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