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「国土交通省では、イーホームズ(株)(建築基準法に基づく指定確認検査機関)から、過去に建築確認を行った建築物について、構造計算書が偽造されていた可能性があるとの情報提供を受け、調査を進めてきました。今般、これまでに判明している事実関係について、下記のとおり発表します。なお、偽造されたとみられる構造計算により建築されたマンションの居住者等の安全を確保する観点から、各建築物の所在地の特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が、本日午後から建築物の所有者に対して、判明している事実関係と建築物の耐震性について連絡を開始しているところです。」
ちょうど20年前の2005年11月17日、「姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について」と題され、冒頭部分に上記の文章が記載された資料が国土交通省から公表されました。マンション20件(竣工済み13件、工事中4件、未着工3件)とホテル1件(竣工済み)の構造計算書の偽造が明らかになっています。地震多発国の日本において、建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンション、ホテルが建設されていたという事実は、人命や財産に関わるものであることから、大きな社会問題となりました。これを受けて警視庁は、事件名を耐震強度構造計算書偽装事件と名付け、千葉県警察、神奈川県警察と合同捜査本部を設置し、捜査を開始しています。
さて、近年、自然災害は年々その激しさや発生頻度を増し、今年1月には南海トラフ地震の発生確率が引き上げられたほか、地球温暖化の影響もあってか、毎年のように大きな風水害も発生しており、防災対策の充実は切実な課題です。特に、弊社も全国で所有・管理しているマンションでは、多様な世帯が一つ屋根の下で集まって暮らしているという特徴から、災害に対して所有者や居住者が協力しながら、事前の予防対策や災害発生後の応急対策に当たっていかなければなりません。
また、大規模災害が発生した場合、マンションでは基本的には在宅避難が求められます。地域の避難所には、大規模なマンションの居住者全員を受け入れられる余裕はありません。電気、ガス、水道などの生活インフラの復旧に時間がかかることや、行政からの支援がすぐには届かないことも想定して、数日間は在宅で生活を維持できるよう、あらかじめ準備しておくことが重要です。
では、マンションで災害への備えが充分になされているのかというと、国土交通省の2023年度マンション総合調査結果によれば、災害時の対応マニュアルを作成している管理組合は19.1%、自主防災組織を組織している管理組合は16.6%、定期的に防災訓練を実施している管理組合でも39.8%に留まっています。充分な対策がとられていないマンションが少なくありません。弊社では1棟で所有・管理しているのみならず、管理組合の一員として所有・管理しているマンションもあります。どちらの立場であっても、居住者の人命や財産にかかわるものであることに違いはなく、所有者・管理者としての対応に不備があってはなりません。