2022.09.05社員ブログ

賃金据え置きで週4日・・・・

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 夏休みも終わり、子どもたちは学校に通いはじめておりますが、歴史を遡りますと、ちょうど150年前(1872年9月5日)、日本最初の近代的学校制度を定めた法規である学制が公布されています。学区、学校、教員、生徒、海外留学生、教育行政など109章の規定から構成され、学校経営は、授業料と学区住民の負担を原則とするところに、財政の特色がありました。学区は全国を8大学区、1大学区を32中学区、1中学区を210小学区に区分しています。全国に8大学校、256中学校、5万3760小学校の設立を予定していましたが、構想があまりにも雄大であったため、現実の社会に適合せず、批判も少なくありませんでした。また、西南の役後の情勢の変化などにより、1879年9月には、教育令の公布とともに、学制は廃止されています。

さて、学校を卒業しますと、大半の人は働くことになりますが、英国では今年6月から、賃金据え置きで週4日労働のパイロット事業が実施されているところです。70の企業や団体、それらの組織で働く3300人以上の人々が参加し、年末まで続けられます。労働時間を80%に短縮しても減給せず、かつ、生産性は100%以上維持を約束するという働き方の試験運用は、世界でも史上最大規模です。パンデミックから脱しようとしている今、生活の質が競争の新たな前線となっており、労働時間の短縮と生産性重視の働き方が競争力を高める手段であると認識する企業は増えています。同様のパイロット事業は、米国、オーストラリア、イスラエルなど複数国で実施中ですが、事業の円滑実施や成功に必要な専門知識、ツール、リソースへのアクセスといった点では、英国のものは類をみないほど充実しているようです。例えば、週4日労働制度導入済み組織などによるワークショップ、主催者や主催者認定企業によるメンター制度、参加者同士が支え合う場となるネットワーキングが準備されています。また、ケンブリッジ大学などの研究者も協力し、週4日労働が各参加組織の事業面での生産性や従業員の幸福度に与える影響のみならず、環境やジェンダーの平等に及ぼす影響も測定する予定です。

日本でも、企業の歯車としての人材ではなく、投資次第で企業の成長やイノベーションを生む人財に進化するという考え方が広がってきました。従業員のポテンシャルを引き出すことは、企業の長期成長に直結します。昨年の日経スマートワーク経営調査で人材活用力の偏差値が65以上の高評価企業を調べたところ、直近10年間でソニーグループの時価総額は12.7倍、純利益は20倍に拡大しました。ダイキン工業も同9.9倍、5.2倍に拡大するなど、飛躍が目立っています。また、エーザイが一昨年に公表した研究結果では、同社が人件費を1割増やすと、5年後のPBR(株価純資産倍率)が13.8%上昇し、女性管理職比率を1割引き上げると、7年後のPBRが2.4%上昇することが分かりました。

産業革命以降、世界の経済成長を牽引したのは工場などモノへの投資でしたが、デジタル社会の進展で、企業はヒトへの投資を、企業価値の向上に生かすサイクルを求められています。政府も動きはじめ、岸田首相は看板政策である新しい資本主義のなかで、2024年度までの3年間に4000億円を人への投資に充てる方針を掲げました。デジタル人材の育成をすすめ、企業の人的資本投資を早期に倍増させることを目指しています。

5月には経済産業省が人材版伊藤レポート2.0を公表し、若年層の経営人材への抜てきや社員の学び直し機会の充実など効果的な事例を示しました。2014年公表の伊藤レポートは、企業価値を高める目標水準として自己資本利益率(ROE)8%を掲げ、企業経営に影響を与えましたが、人材版には数値目標は盛り込まれていません。ただ、今度は企業の意識をヒトに向けようとしています。

これまでの年功序列型は、迅速な変化が求められる現在のビジネス環境では通用しにくく、また、入社後の下積みで労働が苦痛と認識されてしまえば、企業に貢献したいと思う気持ち(従業員エンゲージメント)も高まらないでしょう。人材育成に関する情報開示のルールづくりがすすむなか、今後、多くの企業が独自の人材戦略を社内外に発信するようになる可能性が高く、弊社でも遅れをとることのないよう、対応に努めて参ります。

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