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大暑となり、暦のうえでは1年で最も暑い時期ですが、まだまだ厳しい暑さは続きます。子どもたちが夏休みに入っておりますので、皆様もご家族で、どこかに出かけられる予定があるかもしれません。あまり遠出はせず、近場の大きな公園などで、ゆっくり過ごされるということもあるでしょう。
今年は昭和元年から100年目にあたり、各地で昭和100年関連のイベントがおこなわれていますが、こちらは昭和ではなく、明治100年記念事業の一環とし整備されました。埼玉県比企郡滑川町と熊谷市にまたがる304ヘクタールの広大な丘陵地にある国営武蔵丘陵森林公園です。全国で初めての国営公園となっており、昨年7月23日に開園50周年を迎えました。東京ドーム約65個分の広さを誇る園内は雑木林を中心に池沼や湿地、草地などの多様な環境を有しており、希少な動植物や四季折々の草花、花畑を楽しむことができます。サイクリング専用コースやマラソンコース、バーベキュー場、キッズエリアなども設置されておりますので、まだ訪れたことがないようでしたら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
森林は国土の保全や水源の涵養、地球温暖化の防止、保健・レクリエーションの場の提供、生物多様性の保全に加え、木材の供給といった多様な恩恵を国民生活にもたらす、緑の社会資本といえるものです。有史以前の日本列島は、スギやヒノキといった針葉樹が、気候に応じて落葉広葉樹のブナや常緑広葉樹と様々な割合で混交し、広葉樹林の樹冠層(樹木の葉と枝が光を受けるため上部に集まって形成した一定の厚さの葉層)を針葉樹が突き抜けるような森林によって広く覆われていたと考えられています。例えば、静岡県の登呂遺跡では建築物や道具類、田や畔を区画する矢板などにスギ材が使われ、周囲でスギの埋没林も発見されました。低地でも天然のスギ林が広く分布していたのでしょう。奈良時代に入ると、大規模な建築物の造営により、建築用材として優れた特性をもつスギやヒノキといった針葉樹の伐採がおこなわれました。時代を追って大径の良材は減少し、伐採の範囲は畿内から次第に拡大しています。江戸時代を迎える頃になると、森林の荒廃による災害の発生が深刻となり、幕府や各藩によって森林を保全するための規制や公益的機能の回復を目的とした造林が推進されたほか、スギやヒノキの天然資源が減少してきたなかで積極的に資源を造成する観点から、山城国(京都府)の北山地域や大和国(奈良県)の吉野地域、遠江国(静岡県)の天竜地域などで、スギやヒノキを植栽する人工造林が開始されました。昭和に入り、第二次世界大戦の拡大に伴って軍需物資として森林の伐採がすすんでいます。また、戦後も復興のために森林は大量に伐採され、各地で台風などによる山地災害や水害が発生しました。
その後、荒廃した国土の緑化や旺盛な木材需要への対応といった社会的要請に応えるべく、スギなどの人工林を拡大させてきましたが、一方で、これらの人工林が成長するにつれ、スギ花粉などによるアレルギー疾患が顕在化し、国民を悩ませる社会問題となっています。今後は森林の地球環境保全、国土保全、木材生産など多面的な機能を発揮させつつ、それらと調和した形で、花粉発生源を減らしていく取り組みをおこなっていかなければなりません。近年、耐震・耐火性能を向上させた木造高層建築物の事例が散見されます。木材の需要が増加し、既存の人工林の伐採後、花粉の少ない苗木や他の樹種に植え替えていくことで、花粉の飛散量を減らすことも可能です。弊社でも将来、耐震・耐火性能を向上させた木造高層建築物を所有・管理する場面がやってくるかもしれません。