2024.04.15社員ブログ

ブルーカーボン・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 間もなく二十四節気の穀雨(今年は4月19日)。百穀を潤す春の雨を意味する、百穀春雨(ひゃっこくはるさめ)という言葉に由来する節気となります。この時期に旬を迎える食べものもたくさんありますが、そのひとつがイカです。イカは漢字で烏賊と書きます。海の生き物であるイカに烏(からす)の文字が使われているのは、中国の古書「南越志(なんえつし)」に記されている故事が由来となっているとか。死んだふりをして海面に浮かんでいるイカを烏がつつきにくると、イカは足を伸ばして烏を絡めとり、海中に引きずり込んでしまったそうです。イカが烏を襲って食べるという場面は確認されていないものの、イカは頭がよい生き物なので、人間がみていないどこかで、死んだふりをしてカラスを襲って食べているかもしれません。

 さて、次はイカも生息している海に関連するお話になりますが、海藻や海草が二酸化炭素を吸収するブルーカーボンにおいて、現在、日本勢は先行しているといわれています。企業の間で技術開発や大規模な創出プロジェクトがすすみ、クレジット(排出枠)取引が拡大中です。政府は世界に先駆け、公的な二酸化炭素吸収量の算定にブルーカーボンを組み込む方針を決定しました。日本発の潮流をつくることができれば、他国の試金石となり、企業の事業機会拡大にもつながるでしょう。

 大手ゼネコンの鹿島建設は、月に1回程度、神奈川県葉山町で担当者が海に潜り、カジメやワカメといった海藻の生育状況を調査しており、分布や成長を計測することで、藻場の再生状況を確かめています。鹿島建設は葉山町の水域環境実験場で長年、藻場の再生に関する研究に取り組んできました。海洋研究拠点の運営はゼネコンで唯一だそうです。一昨年、海藻類を大量培養する技術を確立し、実験場のある葉山町で地元漁協などと一緒に藻場再生をすすめています。

 周辺海域では地球温暖化の影響などで、海藻の一種であるアラメが2020年頃までに完全に消失していました。鹿島建設の大量培養技術を使って育苗した苗を地元ダイバーの協力を得て魚礁に設置したところ、アラメの藻場拡大を確認できたそうです。カジメやワカメの藻場再生もすすめ、昨年、地元漁業協同組合などと共同で約50トンのクレジット創出に成功しています。また、藻場再生のメリットはクレジット創出だけにとどまらず、地元漁業の活性化にもつながるかもしれません。昨年末までに藻場を再生中の海域でサザエの稚貝2万匹を放流しており、生育できれば、漁業者の新たな収入源となる可能性があります。

 ブルーカーボンは海藻などが光合成によって二酸化炭素を吸着し、海底の泥となって長期間貯留することで創出され、二酸化炭素の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現が待ったなしとなるなか、注目が高まっています。脱炭素の取り組みはこれまで欧州の主導でしたが、ブルーカーボンにおいては、吸収量を増やしたり、正確に算定したりするノウハウで日本が先行し、国際的な基準づくりでもリードできるかもしれません。他国でも導入機運が高まれば、技術開発で先行する企業の事業機会拡大にもつながるでしょう。ブルーカーボンは弊社の事業とは直接関連はないものの、脱炭素を実現するものとして、動向を注視して参ります。

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