2023.10.02社員ブログ

シニア活用・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 総務省が敬老の日の2日後に公表した直近の人口推計(9月1日現在の概算値)によりますと、総人口は前年同月比52万人減の1億2445万人となりました。年齢階層別にみると、15歳未満1422万人、15~64歳7400万人、65歳以上3623万人となっています。65歳以上の割合は29.1%に達し、シニア世代は少子化を背景に働き手としても期待もかけられ、その活用策や環境づくりは上場企業の株価も左右しかねません。高齢者雇用安定法で企業は65歳までの雇用確保を義務づけられており、これまでは60歳でいったん退職させ、条件を下げる再雇用方式が主流でしたが、定年を引き上げる方式に切り替える事例が目立ってきました。

 住友化学は来年4月から、定年を60歳から65歳へと段階的に引き上げていきます。役割を整理したうえで、59歳までと同じ人事評価枠での処遇となります。現在、60代は再雇用で給与水準は4~5割ですが、今後は9割以上となる見込みです。モリタホールディングスは昨年10月からグループ6社で定年を延長しました。65歳まで昇給・昇格制度も続きます。2年前に定年を延長した阿波銀行には60代の支店長もいます。

 総務省の就業構造基本調査によると、昨年の有業率は60~64歳が72.5%、65~69歳が50.9%で、2017年と比べてそれぞれ5ポイント以上の上昇です。60代の労働参加がすすみ、より密度の濃い働き方も追求されはじめています。給与が下がる再雇用はやる気に響きかねません。元気な60代に最大限能力を発揮してもらえば、日本の金融資産の3分の2が60歳以上に偏るなか、長く一線で働くシニアの購買力はより高まるでしょう。

 一方で、定年延長に伴って人件費は増え、コスト増に見合った成果を引き出せるのかが焦点になってきます。また、上の世代が残ることで、40代などの中堅層の意欲にマイナスの影響を与えるかもしれません。定年延長後に従業員の離職率が上がるようなケースがあれば、株価にも響くでしょう。そして、財務への影響も見逃せなくなってきました。65歳定年への移行をすすめているTOTOは、退職金制度の変更で2023年3月期に8億円超の退職給付債務の増額が発生しています。住友電設も定年引き上げで退職給付債務が変動した旨を2021年3月期の有価証券報告書に追記しました。

 上記の2社は会社規模に比べれば金額は小さいのですが、産業界で60代の従業員が増えていけば、コスト増・財務面への影響とのバランスも考えていかなければなりません。報酬の年功部分の圧縮や年金制度の見直しなど、知恵が問われています。また、シニア層は体力や能力の差も大きく、その活用には丁寧な人事設計が必要でしょう。

 さて、経済産業省などは毎年、健康配慮に優れた企業を健康経営銘柄として選定しており、審査項目には高齢従業員への配慮も入っています。健康経営銘柄は多様な働き手の社会進出を後押しする視点からも、ESG(環境・社会・企業統治)を重視する投資家の関心が高いものです。シニア活用は企業変革のきっかけになり得るものであり、弊社でも他社の取り組みを注視して参ります。

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