2023.03.06社員ブログ

クライマタリアン・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 寒さが緩み、春の陽気になってくることで、土の中から虫たちが動き出す季節。今日は啓蟄です。暦便覧(江戸時代の暦の解説書)には、「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されています。この時期、特にこれを食べるとよい、というものは決まっていませんが、初物を食べる前に東を向いて笑えば寿命が75日延びる、ともいわれており、ぜんまい、わらび、新たまねぎなど、旬の食べ物を食卓に取れ入れ、季節を感じてみるのもよろしいのではないでしょうか。

 生産や輸送などの過程で排出される二酸化炭素量が多い食べ物を選ばない食生活をする人のことを、クライマタリアン(Climatarian=気候を意味するclimateと、主義や派を表すtarianを組み合わせた造語)と呼ぶそうです。クライマタリアンになることは、温室効果ガス削減に加え、体にやさしい食生活を選ぶことになります。

 温室効果ガス排出量のうち、食品関連はおよそ4分の1を占め、更にその半分以上が畜産由来のものです。なかでも、げっぷや糞からメタンが排出されることから、牛や羊といった反芻動物は、他の家畜よりも排出量が多いとされています。また、食肉1キログラムあたりの土地使用面積が他の肉に比べて多いのも牛や羊の畜産の特徴です。このため、牛肉や羊肉が気候に及ぼす影響は他の肉の5倍にもなっています。毎日の食事で牛肉と羊肉を避けるだけで、ひとりあたり年間1トンの排出量削減効果があるそうです。また、主要な研究によると、牛肉や羊肉の赤身肉や加工肉の摂取は大腸がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がんなどのリスクが高くなることも示されています。赤身肉を食べず、肉の摂取量を全体的に減らせば、がんのリスクも下がっていくに違いありません。

 牛肉や羊肉を避ける以外にも、空輸される食品や包装過剰な食品、暖房による温室栽培の野菜などを避ける、生ビールや地元のビールを飲むなど、クライマタリアンとしてできることがありそうです。

 次も関連するお話になりますが、9条問題と呼ばれているものが欧州のESGファンドに影響を与えはじめています。一昨年3月に施行されたEUの情報開示規則であるSFDR(Sustainable Finance Disclosure Regulation)では、ファンドは準拠する法令に応じて6条、8条、9条の金融商品区分に分類され、このうち9条ファンドは濃い緑色ともいわれており、運用先はヘッジ目的などを除き、持続可能な投資として適格な資産でなければなりません。純度の高いESG運用が求められ、今年1月には更にルールが厳格化されました。ESGファンドを名乗りながら化石燃料にも投資してきたファンドは9条から外され、薄い緑色といわれる8条ファンドへ格下げされます。

 米国でも証券取引委員会がESGファンドに透明性を求めており、ESG投資を推進する団体の直近の発表では、昨年初めの投資家のサステナブル関連資産は2年で半分以下になりました。多くの資産が適格性を満たしていないと判断されています。

 ESG純度の増大を前向きに評価する一方で、適格性のあるファンドの減少は環境意識の高い機関投資家や個人投資家の運用難にもつながっています。そもそも高い成績を上げてきたESGファンドは、必ずしも再生可能エネルギーや社会性の高い企業の株価に支えられてきたわけではありません。ポートフォリオをみると、化石燃料企業であっても社会貢献やガバナンスの側面を高く評価し、組み入れている例も散見されます。世界的な景気鈍化が懸念されるなか、投資家が環境志向を強めているとはいえ、いくらESGの純度が高くても、リターンの落ちたファンドを積極的に選好し続けるのは難しいでしょう。

 さて、弊社でも不動産特定共同事業法に基づいた不動産小口化商品を、主に個人投資家の皆様に提供しています。ESGについても、より配慮していきたいと思っております。

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