2025.05.19社員ブログ

オレンジ・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 今月4日、総務省統計局は翌日5日の「こどもの日」にちなみ、今年4月1日現在における、こどもの数(15歳未満人口)を推計しました。前年に比べ35万人少ない1366万人となっています。1982年から44年連続の減少で、過去最少となりました。男女別では男子が699万人、女子が666万人です。

 総人口に占めるこどもの割合は、1950年には35.4%で総人口の3分の1を超えていましたが、第1次ベビーブーム期(1947~1949年)後の出生児数の減少を反映し、1970年には23.9%まで低下しました。その後、第2次ベビーブーム期(1971~1974年)の出生児数の増加によって僅かに上昇し、1974年には24.4%まで上昇したものの、翌年の1975年からは毎年連続して低下しています。 

 一方、増加しているのは高齢者ですが、そのうち、認知症と軽度認知障害の高齢者は2022年時点で合計1000万人となりました。2050年には1200万人を超える見込みです。認知症とともに歩む時代が訪れているといっても過言ではありません。

 政府は昨年12月、認知症施策推進基本計画を策定し、「新しい認知症観」というキーワードを掲げました。認知症になってからも各人のできること、やりたいことが尊重され、希望をもって自分らしく暮らし続けることができる社会を目指す考え方になります。認知症の人が日常生活や社会生活を営むうえでの障壁は数多く存在しており、これらを取り除くひとつの方法として、経済産業省は認知症の人の生活を支える製品・サービスの開発・普及を強力に後押ししているところです。認知症の人が企業の開発プロセスに参画し、企業とともに新しい価値を生み出すオレンジイノベーション・プロジェクトを推進しています。トヨタ自動車、TOTO、YKKなど46の企業・団体が実践主体として採択されました。

 このうちYKKは、誰でも開け閉めがしやすいファスナーの商品化を目指し、マグネットの磁力で開具が引き合う仕組みを導入するなど、認知症当事者に実際に触れてもらい、対話を通じて開発・改良をおこなう当事者参画型開発をすすめています。リンナイのガスコンロ「SAFULL+(セイフルプラス)」も、西部ガスや福岡市と共同で認知症当事者のモニタリングを重ねて開発されました。左右のコンロの点火スイッチをオレンジと緑という区別しやすい配色にしています。高齢者がききとりやすい音声ガイダンス、鍋などを安定して置きやすい大型ゴトクなども採用されました。

 日本総合研究所によれば、認知症になってからも使いやすい製品・サービスの市場規模は2030年に987億円となり、2050年時点では5312億円まで成長する見込みです。販路の確保など課題も少なくありませんが、オレンジ市場の育成に成功すれば、高齢化で日本の後を追う国にも商品・サービスを提供できるでしょう。

 さて、文中に何度か出てきていますが、日本の認知症支援のシンボルカラーはオレンジになります。江戸時代の陶工であった酒井田柿右衛門(さかいだかきえもん)は、夕日に映える柿の色にインスピレーションを感じて磁器をつくり上げ、欧州を起点に世界で有名になりました。オレンジには、認知症支援が世界で認められるように、との願いが込められています。弊社でもいずれ、認知症高齢者向けの居住用不動産所有などで、オレンジ市場に関与する場面がやってくるかもしれません。

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