2020.03.25

専門家・著名人

<連載② 第2回>同僚の「株で儲けた」を鵜呑みにしてしまったBさんは...

<連載② 第2回>

同僚の「株で儲けた」を鵜呑みにしてしまったBさんは...

最近、「投資を始めてみたい」という相談を多く受けます。実際、お金の仕組みについて学べますし、トライすることも大切です。しかし、「投資をする」と一言でいっても、どのような商品にどうやって投資をするのか、手法は様々です。資産をコツコツ増やす方法もあれば、急に増えたり減ったりする投機的な方法もあります。あっという間に世界マーケットの様相を一変させてしまった「コロナショック」のように、投資の世界では、いつ試練が訪れるかわからないものです。安易に始めると、大損してしまう可能性があることを、肝に銘じましょう。

家族の大切な貯金を投じて「株式投資」を始めたBさん

「今後は投資で効率よくお金を増やしたい」と思っていた、会社員のBさん(36)。インターネットや雑誌で情報を集め、個別株への投資を始めようと思い立ちました。

「投資に興味を持ち始めたとき、ちょうど同僚が『株で儲けた』と喜びながら、飲み代を大盤振る舞いしていたんです。そんなに儲けられるんだと思いました。話を聞いたら、随分簡単そうだったし、自分にもできるかもしれないと感じました」

Bさんには、専業主婦をしている妻(33)と息子(4)がいます。教育費やマイホーム資金を貯めるため、節約を心がけようと話しているところでした。息子の幼稚園も始まり、奥様がパートにでることも計画していました。

結婚後、頑張って貯めたお金は130万円ほどです。Bさん自身は、ほかに資産を持っていません。投資資金は、こっそりと貯金から捻出しようと考えていました。

さっそくネット証券に口座を開き、個別株を選んでいきました。「とりあえず人気なものから」の気持ちでランキングを見たら、100株の1単元あたり10万円程度から、100万円を超えるような株まで並んでいて、どれを買えばいいのか迷ってしまいました。

「あれこれ考えたんですけど、まずは100株で20万円ほどの株を買ってみることにしました。証券口座にお金を入れたら、ボタンをクリックしながら進めていくだけで、すごく簡単でした。投資可能額に表示された数字は減りましたが、なんだか実感できないまま、株の購入が終わりました」

「あとは売りどきだな」と、Bさんは心勇みました。スマートフォンに購入した株の株価がわかるアプリを入れ、値動きをチェックしていくことにしました。

アプリを開くたびに、株価は少しずつ変わっていきます。徐々に上がっていくので、「ものは試し」と売ってみたら、8万円近い利益がでました。「株で儲けるってこういうことか!」と実感したBさん。難しいものではないという手ごたえ、そして、次も上手くいくだろうという確信を得たそうです。

Bさん最初の投資

次は少し投資額を増やし、3つの株に投資しました。合計で80万円ほどです。またスマホで株価を確認して、上がったときに売ればいいと考えていました。しかし、今回の株は前回と株価の値動きが違います。投資後、全部ではありませんが、株価が徐々に下がっています。上がることもほとんどありません。

こうなると、Bさんは居ても立っても居られなくなりました。

「仕事をしていても、普通に生活をしていても、今株価がどうなっているのかが気になって仕方なくて。トイレに行くふりをして、スマホを確認することもありました。株価が下がりだすと、集中して仕事をすることもできませんでした」

そうこうして3ヵ月、株価はどんどん下がってしまいました。精神的にも疲れたBさんは、いわゆる「損切り」をすべきだと判断し、3つすべてを売却。損失額は約35万円にものぼります。奥様と懸命に貯めてきた貯金が、一瞬で減ってしまいました。「こんなつもりじゃなかったんです...」と嘆いていましたが、もう諦めるほかありません。

Bさん2回目の投資

老後資金が不安なら、「株式投資による資産運用」は最適とはいえない

個別株への投資は難しいものです。同じ株式への投資でも、投資信託などを用いたら、多くの企業や国々が1つの商品に含まれているものへ投資できます。また、テーマ型投資などで分散しながら、特定の分野にメリハリをつけて投資することも可能です。下手にタイミングを計らずに、コツコツ積み立てることは、初心者にも上級者にも有効な手法だといえます。

また、資産運用の目的が「老後資金の創出」であり、ゆっくりでもいいから、お金を大きく育てたいという人は多いものです。

将来に備えた資産形成を考えているのなら、Bさんのような資産運用は、皆さんにも合っていないといえます。2〜3つの株への投資は、リスク分散ができておらず、値動きの影響をもろに受けてしまうからです。

こうして、株で損をしてしまったBさんは、「しばらく投資はこりごりです...」と声を漏らしていました。家族の大切な資金、つまり「減らしてはいけないお金」に手をだしたことを酷く後悔しており、奥様にも誠心誠意謝ったそうです。

Bさんのように、失敗して初めて気がつくこともあります。大事なお金ですから、軽率なことは書けませんが、「資産運用を自らの手で行ってみた」という経験そのものが、今後、大切な財産になります。今回は失敗した事例を掲載しましたが、やってみたい資産運用の手法があるのなら、試してみることも大切です。

「自分がやっている資産運用には、どのような特徴があるのか」「リスクを回避するためには、どうすべきなのか」を実感できたからこそ、次は失敗しない方法を選べるのです。

さて、皆さんは何から始めますか?

【次のコラム】<連載② 第3回>安易に「一般NISA」を選んだ結果...

【前のコラム】<連載② 第1回>「預貯金だけ」を続けてきた、とある会社員の悲鳴

横山 光昭

横山 光昭(よこやま・みつあき)

家計再生コンサルタント
株式会社マイエフピー代表

お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。 これまでの相談件数は23,000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。 著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。 個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

前へ
次へ

会員登録をしていただくと、過去の実績から直近の実績まで一目でわかるi-Bondチャートをご覧いただけます。
また、i-Bondに関する情報などをメール等でお届けします。

会員登録はこちら

会員登録